引退に憧れて
さて
60才を機に
突然の社長辞任を発表した
元社長ですが
このときは「引退」にはなく
取引先でもあった外部の会社から社長を
新たに迎え
自分は「会長」に退くとしたものでした
同時に
私の直属の上司であった経理部長で
元社長の三度目の奥さんは
社長交代と同時に正式に退職することと
なり
その後継には
新社長が前勤務先となる会社から
何故か経理経験の一切ない30代前半の
女性が「新経理部長」として据えられま
した
それと もう一人 新社長の右腕という
40代男性が「営業部長」に就任しまし
た
退職を明らかにした後
元社長の奥さんが話してくれたことは
「ずっと前から (元)社長は60才で
引退したいって言ってたの
本当は ベーちゃんを自分の後継者に
考えてもいたんだけど 流石に若すぎる
から」
この ベーちゃんとは
若干28才ながら仕入れ部長の要職に
あって
元社長の運転手までを兼任する
新卒入社の若手社員の中でもトップを
ひた走る
絶対的とも見えた忠誠心から 元社長の
信頼が厚いことは誰もが知るところでし
たが
まさか「次期社長」に推す考えにまで
あったとは 正直なところ「意外」でした
このベーちゃんについては いずれまた
で
衝撃的な社長交代宣言から
わずか2か月余りの6月初旬
ホテルニューオータニで催された
新社長の就任パーティーで
元社長であり新会長は
華々しくも 満場の拍手の中
一週間前に書き上げた原稿を
情感たっぷりに読み上げたのでした
思えば
この祝宴の晩こそが
元社長の至福の時であったかも
しれません