スピンオフ ベーちゃんの事情 2
もう少し、ベーちゃんの話を続けます
私が派遣でベーちゃんの下に着いた時には
ベーちゃんは若干25才にして
仕入れ部長の要職にあり
元同僚であった一つ上の奥さんは
待望の第一子を授かったばかりと
若い彼は
公私ともに充実の時にありました
その会社は 元より若い社員が多く
特に ベーちゃんが仕切る仕入れ部は
20代前半の男子ばかり
ベーちゃん以外は全員が独身でしたから
仕事場では 自分の「家庭」の話題は
出し難かったのかもしれません。
仕入れ部が置かれる別所の倉庫から
昼休憩を兼ねて
伝票の引き渡しのついで
本社の電算室へ来ては
5分、10分
一応は既婚の私相手に
奥さんや 間もなく生まれてくる子ども
の あれこれ 話す様子は自然で屈託の
ない 幸せな父親の顔でした
そんな穏やかな幸せの中にあった
ベーちゃんが
思わぬ不幸に見舞われます。
そろそろ安定期に差し掛かろうかと
いう頃に
ベーちゃんの奥さんが突然の不調を
訴えて
結果は残念なことに流産でした