先崎愛海のブログ

もうキレました。

スピンオフ ベーちゃんの事情 3

 

その朝

珍しく 遅刻をして出社したベーちゃんが

社長の奥さんに

「ダメでした」と一言だけ。

 

ベーちゃんが部屋を出ていくのを待って、

社長の奥さんが話してくれたことは

私が知らない べーちゃんの事情でした。

 

ベーちゃんが元同僚だった奥さんと結婚

したのは約2年前。

当初、仕事を続けるとしていた奥さんで

したが、結婚して直ぐに妊娠が分かり、

喜んだのも束の間、その時も流産してし

まったそうです。

その後、退職して専業主婦になった奥さ

んは、数か月後に再び妊娠したのですが、

またしても、残念な結果に。

結婚から二年余りの間に

4度の妊娠と流産を繰り返し、

今回が5度目の妊娠であったということ

でした。

 

そう話す社長の奥さんは

38才にして長女を出産されていますが、

それ以前に一度、社長と結婚間もない頃

に流産を経験されたそうで、

ベーちゃんの奥さんを頻りと心配する

その気持ちが

私にも痛いほど分かりました。

 

奥さんが5度目の流産と分かってから

数日後

いつものように お昼時に

午前中の仕入れ伝票を手にやって来て

何も言わず、

私の隣に座りました。

私からは何も聞かず

待ちました。

 

暫くして ベーちゃんは

「奥さんや奥さんの親と話して

 子どもは諦めることにしたんだ。」

と言いました。

「奥さんの身体が大事だから、

 もう、子どもはつくらない。」

 

元より、

奥さん自慢、奥さん思いのベーちゃんで

すから

その言葉に滲む寂しさもすべて

奥さんを大事に思う

夫としての彼の決断であり、

ベーちゃんの真意と受け取りました。

 

勿論、

子どもがなくとも

互いの信頼の下に幸せに暮らす

夫婦はあります。

だから、

ベーちゃんと奥さんも

きっと、幸せな夫婦であり続ける

だろうと 一分たり疑うことは

なかったのですが。

 

 

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